多言語・インバウンド

多言語ECで通貨・配送・返品をどう伝えるか

ネットショップを英語などに対応させるとき、商品説明の翻訳より先に決めて書くべきなのが、通貨・海外配送・関税・返品の条件です。購入前に不安を残さない伝え方と、ページと構造化データでの確認方法をまとめます。

「海外からのアクセスはあるのに、カートに入れたまま購入されない」——多言語化したネットショップでよくある悩みです。商品説明を丁寧に翻訳しても、最後にいくら払うのか、いつ届くのか、合わなかったらどうなるのかが分からなければ、お客様は購入をやめます。国内向けには当たり前で書いていない条件ほど、海外のお客様には書く必要があります。

購入前に伝えたい4つの条件

条件お客様の疑問ページに書くこと
通貨自分の国のお金でいくら? どの通貨で請求される?表示通貨、請求通貨、換算は目安かどうか
配送自分の国に届く? 何日かかる? 送料は?配送できる国・できない国、配送方法、日数の目安、送料、追跡の有無
関税・税金受け取り時に追加で払うものは?関税・輸入時の税・手数料の負担者
返品合わなかったら返せる? 送料は?返品できる期間・条件、返品送料の負担、返金の方法

通貨:表示通貨と請求通貨を分けて書く

よくある形は次の2つです。

  • 円で請求し、外貨は目安として表示する:「Prices are charged in Japanese yen (JPY). Amounts in other currencies are approximate.」と明記。カード会社の換算レートや手数料で請求額が変わりうることも添えます
  • 外貨で請求する:カートシステムや決済サービスの複数通貨機能を使います。為替レートの更新頻度、返金時のレートの扱いを確認しておきます

どちらでも、カートと注文確認画面で、請求通貨と合計金額(送料込み)が分かることが大切です。

配送:送れない国・送れない商品を先に書く

海外配送は、配送先の国によって送れない商品があります(食品・液体・電池を含む製品・化粧品など、国や配送方法ごとに条件が異なります)。日本郵便や配送会社の最新の案内を確認したうえで、次を書きます。

  • 配送できる国・地域の一覧(または「配送できない国」の一覧)
  • 配送方法ごとの日数の目安と、追跡番号の有無
  • 送料の決まり方(重さ・地域別の表、一定額以上で無料など)
  • 配送できない商品がある場合は、その商品ページにも表示

関税・税金:負担者を一文で

配送先の国で関税や輸入時の税がかかるかは、国・商品・金額によって変わり、販売者が正確に事前計算するのは難しいことが多いものです。それでも、「誰が払うか」は書けます。

Import duties, taxes and customs fees may be charged by the destination country.
These charges are the customer's responsibility and are not included in our prices or shipping fees.

関税を販売価格に含めて先に受け取る方式(受け取り時の追加負担なし)を選ぶ場合は、その旨を明記します。どちらを選ぶかは、配送サービスと税理士に確認して決めてください。

返品:国内と同じ条件で良いかを決め直す

国内向けの「到着後7日以内、未使用品に限り返品可」をそのまま翻訳すると、海外からの返品送料や、返送時の関税の扱いで揉めることがあります。海外向けに次を決め直します。

  • 返品を受け付けるか、受け付ける場合の期間
  • 返品送料の負担者(初期不良と、お客様の都合で分ける)
  • 返金の方法とタイミング(商品の到着確認後など)
  • 返品の連絡方法(英語で受け付ける窓口)

国内向けの送料・返品の見せ方はネットショップで送料・返品情報を見つけやすくする方法で詳しく説明しています。

自分で確認する方法

  1. 外国語の商品ページを開き、価格の通貨と「請求通貨」の説明があるか見る
  2. 商品ページかフッターから、海外配送の案内ページ(Shipping)と返品のページ(Returns)へ移動できるか確かめる
  3. 実際にカートへ入れ、海外の住所を想定して、送料と合計金額が支払いの前に表示されるか確認する(決済は行わない)
  4. 関税・税金の負担について一文があるか探す
  5. 商品ページのソースで priceCurrency・shippingDetails・hasMerchantReturnPolicy を検索し、構造化データにも条件が書かれているか確かめる

構造化データは、ページに書いた条件と一致させることが前提です。ページに無い送料や返品条件を構造化データだけに書くことはしません。商品の構造化データ全体は商品構造化データで最低限確認したい項目をご覧ください。

よくある誤解

  • 「通貨切り替えボタンがあれば十分」:表示が外貨でも、請求が円なら、その説明がないと請求額の違いで問い合わせや返金の相談になります
  • 「関税は買う人の国の話」:受け取り時に請求される追加費用は、お店の印象として残ります。事前の一文で防げます
  • 「翻訳すれば海外対応」:配送・返品の条件は翻訳ではなく、海外向けに決め直す必要があります

当サービスの診断ではこう判定します

Webサイト診断の多言語・インバウンド対応診断では、ネットショップの場合に次の項目を確認します。

項目配点合格の条件
通貨・海外配送の案内(ネットショップのみ)10点複数通貨の表示と海外配送の案内の両方がある(どちらか一方は5点)
住所・営業時間・アクセス・価格の外国語表記15点4項目中3つ以上を外国語ページで確認できる
外国語での予約・問い合わせ導線10点外国語ページから購入・問い合わせへ移動できる(移動先が日本語のフォームのみは4点)

ネットショップ販売基盤診断では、別に「送料・返品条件の構造化データ」(shippingDetailsと返品ポリシーの両方で3点、片方で1点)や、価格と通貨(offers.priceとpriceCurrencyで8点)も確認しています。カートや決済の操作は行わず、公開ページの確認だけです。

制作会社への依頼文の例

海外のお客様向けに、次の表示を追加・調整してください。
1. 外国語の商品ページ・カートに、請求通貨(JPY)と「外貨表示は目安」の説明
2. 海外配送ページ(Shipping):配送できる国、配送方法と日数の目安、送料表、追跡の有無、配送できない商品
3. 返品ページ(Returns):海外向けの返品条件、返品送料の負担、返金の方法
4. 関税・輸入時の税はお客様負担である旨を、商品ページとカートに一文で
5. 商品の構造化データの priceCurrency・shippingDetails・hasMerchantReturnPolicy を、ページの条件と一致させる
6. 商品ページ・カートのフッターから Shipping と Returns へリンク

次に読む

外国語版を検索で見つけてもらう設定はhreflangの相互参照とx-defaultを図で理解する、問い合わせまでの道筋は英語ページがあっても予約されないサイトの共通点で説明しています。

多言語化の設計は多言語化・インバウンド対応、海外のお客様に見つけてもらう発信は海外のお客様に見つけてもらう発信をご覧ください。送料・返品の表示などショップ側の整備は無料のご相談ください。

よくある質問

外貨の価格を表示すると、為替が動いたときに困りませんか?

決済を円で行い、外貨は「目安(approx.)」として表示する方法があります。請求通貨と、カード会社の換算で請求額が変わりうることを明記しておけば、為替の差によるトラブルを減らせます。外貨で決済する場合は、カートシステムや決済サービスの為替の扱いを確認してください。

関税は買う側が払うものなので、書かなくてよいですか?

書いておくべきです。受け取り時に関税や輸入時の税、手数料を請求されると、受け取り拒否や返金の相談につながることがあります。「お届け先の国で関税・税金がかかる場合があり、お客様のご負担です」のように、事前に一文で伝えておきます。

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参照資料

  1. Google 検索セントラル:ページのローカライズ版について Google に知らせる(2026.10.01 確認)
  2. Google 検索セントラル:商品(Product、Review、Offer)の構造化データ(2026.10.01 確認)
  3. schema.org:OfferShippingDetails(2026.10.01 確認)
  4. schema.org:MerchantReturnPolicy(2026.10.01 確認)
  5. 日本郵便:国際郵便の送付可否・禁制品の案内(2026.10.01 確認)